同友会ニュース−活動報告

2017年度全県経営研究集会 記念講演経営環境の変化に立ち向かい、中小企業の時代を切り拓こう 〜「人を生かす経営の総合実践」地域と共に歩む企業づくりを〜

『感動』を軸に女性の夢の実現へ 〜女性の自立支援こそ わが天命〜

松波 正晃氏(愛知同友会)
【onde 株式会社】

所 在 地/愛知県名古屋市中区錦2丁目9番25号
設立年月/1987年9月
社 員 数/32名
資 本 金/2,000万円
事業内容/店舗での化粧品販売(販売に伴う美容施術)、化粧品委託販売と企画、サロン運営支援
URL/www.onde.asia//

不満から学びへ。金融アセスメント法制定運動への展開

 \;  私は1991年に同友会に入会しました。26年間会員でおりますので、今日は同志という立場で報告をしたいと思います。入会して最初の3年で同友会の経営指針づくりや「中小企業における労使関係の見解」(以下「労使見解」)について徹底的に学びました。会社が31年続いているのは、その経営の底辺に同友会の学びがあり、それを実践してきたからだと思っています。
 経営者としての大きな転機の一つは、1997年の山一證券破綻後の厳しい貸し渋り、貸しはがしの横行でした。そのことが直接の原因ではないのですが、知り合いの経営者が自ら命を絶つということを経験し、経営者が命を削らなくてはいけないような事態に衝撃を受けました。ある勉強会で立教大学の山口義行教授とお会いする機会があり、経営者の厳しい現状に対する不満をお話ししたところ、「君たちは、なぜそのことを学んで、声を上げようとしないのか」とおっしゃり、これを機に銀行の仕組みやマクロ経済、また中小企業の側にも問題が何かあるのではないかということを学び始めました。また、個々の会員企業の努力だけではどうすることもできない
経営環境に対して、連帯の力で声を上げていこうという流れが、やがて金融アセスメント法制定運動の大きなうねりになりました。同友会では金融機関への悪しき慣習の是正などを求め、100万人の署名を集め法案提出しました。可決には至らなかったものの、リレーシップバンキングへ生かされることとなり、同友会は運動への確信を持つに至ることができました。

管理会計とは

 \;  本日は金融アセスメントの一つの側面、「経営者自身が襟を正すとは何か」について、主にお話しします。企業では年に一度財務報告書を出しますが、もう一つ、管理会計というものがあります。この管理会計については大手では2000年から徹底され始めましたが、中小ではなかなか進まず現在でも100社中、1社程度しか導入されていません。管理会計とは、簡単にいうと財務報告書がPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、キャッシュフローなどの財務諸表を作成し、外に向けて会社の経営状態を知ってもらうためのものであるのに対し、管理会計は経営者のためのものだといえます。
 すなわち、現状、過去を分析するだけではなく、未来を創造するために、必要な事項を数字化するということです。管理会計をきちっとやることで経営指針書との整合性がとれるのではないかと思います。こういう企業なら融資をしてあげたいと思えるような会社になるためには経営指針書だけではだめなのです。計画に対して誤差のないようにたどり着くことが経営には大切で、外部環境について発言し、運動しているからには、管理会計も徹底していこうというのが金融アセスメントでもあります。

管理会計の導入が会社成長の鍵になる

 \;  金融機関は我々の自己革新能力を見ているのです。財務会計はもとより管理会計もきちんと作成し、金融機関に対しても未来創造についてしっかりとプレゼンテーションすることで融資につなげ、企業規模を大きくしている企業がたくさんあります。弊社もその中の1社で、最初は4名からのスタートでしたが、現在では130名以上の方に働いていただけるグループにまで成長することができました。管理会計を取り入れることで、銀行が支援をしたくなる企業になれるのです。管理会計導入企業が少ない今が正に成長のチャンスです。
 また資金面だけではなく、管理会計をもとにしっかりビジョンと方針を打ち出すことで従業員とその家族の理解を得ることができます。この理解と共感を得られれば、信じられない勢いをもって、それを達成しようとする流れになります。そして管理会計の5W2Hを明確にしたスケジュールに落とし込み、PDCAを徹底することで、弊社の現在につながる成長があるのだと思っています。

心労の末の手術で人生が変わった!

 \;  5年前、弊社は25年続けてきた前メーカーの化粧品代理店業をしており、サロンは全国37店舗まで拡大していました。全国の代理店153社の中でも、上位に入る売り上げでした。ところが2012年、突然メーカーから商品の出荷停止を受けました。それだけではなくメーカーから供給されるシステムなどもすべて停止になりました。その後裁判を経て、4か月後に和解に至ったものの、その間のストレスで血管が詰まり、心筋梗塞の手術をする事態になりました。けれど、この時に人生が変わりました。麻酔が覚めた瞬間、もう一度再チャレンジしなくてはと強く思ったのです。

人は教育によって希望をもち、人生を切り拓ける

 \;  退院したのち、城南信用金庫の理事長(当時)吉原毅氏の「貢献からビジネスへ」と題した講演を聞き大変感銘を受けました。貢献することが本当にビジネスになるのか、女性の創業支援を事業として本当に成功できるのかということを模索し、onde(株)へと社名と業態を変えた弊社の理念を、命をかけて作りました。 
 この結果、たった5年で店舗数は63店舗となったのです。理念をまっとうしたら、考えもよらない結果が生まれるということを知りました。貢献とは、こういうことなのだと知りました。
 私は社会に出た女性が経営者としての教育を受ける機会がとても少ないと感じておりました。きちんとした経営者としての教育を受けることで人は夢を語れるようになります。女性たちを真剣に教育していきたいと思って始めたのがフィロソフィー研修です。経営哲学、商品、教育、女性のリーダーシップなどについて1年かけて研修を行い、ここに数千万円の費用も投資しています。
 店舗をオープンする際の資金として彼女たちが、必要な融資を断られたことは一度もありません。母子家庭であろうが社会的弱者であろうが、関係ないのです。管理会計に基づくビジョンの提示をしっかりとしていくことで、行政や金融機関からも支援いただけるようになりました。

経営者になって自分ができることは何か

 \;  私は24歳のときに難病になり、通常の生活だけでも大変でしたが、家族のために死にもの狂いで働きました。皆さんも同じだと思います。それであれば従業員に対しても、家族を思う気持ちで育てる、それが同友会の目指している「労使見解」なのだということがわかりました。親以上の気持ちで育てるというなら、従業員が育つ
までの2 〜 3年の間、経営者がその人の分まで働いて数字を出せばいいのです。人が夢を持ててその夢を実現できるような企業にならなくてはいけません。そのためにどう教育するかが「労使見解」だと思いますし、そういった人を育てることが地域貢献なのです。皆さんがそのパワーを発揮していただくことで、埼玉同友会もますます活性化すると思います。
 地域の雇用が厳しくなる時代ではありますが、弊社では顧客がスタッフになって、スタッフからオーナーになってくださる方が続々と出ています。キーワードは感動の連鎖です。感動の連鎖の仕組みを皆さんも管理会計とともに取り入れる試みをしていただければと思います。皆さんと今日出会えたのも、偶然ではなく必然です。経営者になったことも必然ととらえ、自身の天命とは何か、経営者として何ができるのかということを改めて考えるきっかけになれば、今日の全県経営研究集会も大変意味深いものになると思います。
 ハウツーでなく「人を生かす経営」の実践により企業は成り立っていくということを学べる会は同友会しかないのです。地域の雇用を支え、夢のある中小企業の職場をつくり、中小企業の未来の創造をしていく。それを皆さんと一緒にやっていきたいと思います。

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