同友会ニュース−企業訪問

重ねた経験が実るとき(大戸工業(株) 専務取締役 大戸 ひとみ)

北の国から

 \;  大戸さんは北海道 網走の出身。仕事の関係で東京に出てくる機会があり、その時に現社長の大戸泰明さんと知り合います。はるばる北の国から嫁いだ先は、明治元年創業の商売屋。当時の経済は右肩上がり、建設業が拡大していく時代でした。大戸工業も創業当初は木製建具そしてアルミ建具へ移行し、ビル用サッシの製造を手掛けるようになり勢いがありました。
 会社の運営は、ひとみさんにとっての義父母が取り仕切り、夫の泰明さんは営業に会議にと不在の日々が続きます。ひとみさんは一男一女を授かり、子育てに専念していました。

創業家の嫁として

 \;  義母の仕事を手伝うことになった頃は、幼い子どもたちが気がかりでしたが、主張のできる時代ではありませんでした。言われるままに、事務をこなす日々が始まりました。
 徐々に仕事がわかってくると、不安が生じたり改善の必要もみえてきます。不安のひとつは手形取引です。建設業界は手形取引が一般的で、不渡りの可能性などが常につきまといます。今までそうしてきたのだから…という考え方が根強くあり、ひとみさんは静かな戦いをはじめるのです。自社での手形決済を何とか減らさないと。2年ほどかけ、粘り強く1枚1枚減らしていきました。そして、最後に支払いの大きな取引先を残すまでになりました。
 そこで、長年つきあってきた税理士さんを変える決断をし、経営に関するアドバイスをしてもらえる会計事務所に変え、最後の1社への手形決済もなくすことができました。結果として現在の会計事務所は、ひとみさんの挑戦を支えてくれる存在になりました。創業家の事業を守らなければならない。ひとみさんの覚悟が垣間見えるエピソードです。

経験をエネルギーに、そして実りに

 \;  その後のバブル景気がはじけた影響が大戸工業にも及ぶ中、平成14年に泰明さんが代表取締役になり、ひとみさんも事務全般を担うようになります。バブル崩壊後の混乱を経験し、役員として会社全体を俯瞰すると、弱みがみえてきました。本体事業だけで良いのか。環境の変化に対応できる柔軟さが必要なのではないか。たどり着
いたのは、リフォーム業でした。もともとインテリアやデザインに興味があったことと、主婦として家事をこなしてきた経験を活かし、女性目線でのご提案こそリフォームの営業には必要なのではと感じました。取引先のリフォーム事業も追い風でした。
 決断後は、出社前早朝2時間・休みの日にはいつも10時間ほど猛勉強をしました。「人生で一番勉強した」甲斐があり、インテリアコーディネーターの資格も取得しました。本来の総務・経理と並行しつつの仕事です。
 お客様へは、3D化した設計図を用いた提案を。契約後は、長年交流のあった親方さんたちから業者を選定。着工時はほぼ毎日現場に通い、自分の目で確かめる。まさに、手塩にかけて仕事を完成させます。それが功を奏し、4年ほどの間にリフォームデザインに関するコンクールでの受賞が続いています。
 老舗創業家の一員としての重みは常に感じているのでしょう。そこを土台に、努力と経験をエネルギーに変えて、ひとみさんの個性を生かした実がみのりはじめた。それを実感した取材になりました。

【企業概要】

大戸 ひとみ(おおど ひとみ)
大戸工業(株)
専務取締役
〒360-0015 埼玉県熊谷市肥塚788-1
TEL:048-521-0183
FAX:048-521-0107
http://www.ohdokogyo.com/

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